
正解のないこの時代に、「学び」と「実行」で正解をつくり続ける──Schoo COO古瀬康介の経営哲学。
2026.03.06 公開

2026.03.06 公開
株式会社Schoo 取締役執行役員COO 古瀬 康介
設立:2011年
事業内容:インターネットでの学びや教育を起点とした社会変革

株式会社よりそう 代表取締役社長COO
Schooの本質的な価値は、学びを通じて人と組織の変化を生み出し、社会の前提を更新しようとしている点にあると 思います。特筆すべきは、「変化は他者との接点から生まれる」という思想を理念にとどめず、個人向けから法人向けへと展開し、組織に実装可能な仕組みへ昇華させていることです。思想を再現性ある事業モデルへと磨き上げたその経営は秀逸であり、日本企業の変化を支える基盤へと発展していくことを強く期待しています。
デジタル技術の進化により、社会人教育市場は急速に拡大している。矢野経済研究所の調査(※)によれば、国内のeラーニング市場規模は2024年度に約3,800億円まで成長し、2025年度には約3,850億円への拡大が予測されている。働き方改革やDX推進、人生100年時代を背景に、企業の人材育成投資も増加傾向にある。
こうした環境下で、『世の中から卒業をなくす』というミッションを掲げる株式会社Schoo(以下、スクー)は、個人向けオンライン学習サービス『Schoo for Personal』、法人向け『Schoo for Business』、高等教育機関向けDXサービス『Schoo Swing』、地域創生サービスを展開。創業から一貫して365日生放送を継続し、9,000本超の動画コンテンツを月額980円で提供する個人向けサービスを軸に成長してきた。現在は累計4,500社超が導入する法人向け事業が、売上の9割を占めるまでに拡大している。今回はそんなスクーのCOO古瀬氏に、ThinkD単独でじっくりお話を伺った。
(※)矢野経済研究所:eラーニング市場に関する調査を実施(2025年)より
これまで3社を経験しています。NEC、リクルート、そしてスクーです。
大学時代は工学部で半導体について学んでいました。当時はどちらかといえばエンジニア寄りの仕事をしたいと考えていたので、就職先としてNECを選びました。
入社したのは2000年なのですが、その頃はインターネットが世の中に広がり始めたタイミングでした。まだパソコンに詳しい人しか使いこなせていなくて、私の中には「もっと多くの人にインターネットサービスを届けたい、インターネットで社会を良くしたい」という想いがありました。

その当時、高齢者の方も含めて、一番身近で使いこなせているデジタルデバイスはテレビのリモコンでした。これを通じて新しいサービスを届けられる世界をつくりたいと思い、その分野で高いシェアを持っていたNECを選んだというのが入社の理由になります。
そうですね。まず、配属先が希望とは異なりました。技術職ではなく、企画や営業に近い部署への配属だったんです。BtoBのインターネットソリューションを提供する事業部で、自動車業界や通信業界向けのBtoBソリューションを担当していました。その後は、当時のガラケー向けに、携帯電話用の検索エンジンを自前でつくったりしていました。
ふり返ると、NECでは徹底的に社会人としての基礎を学んだと思っています。製造業ということもあり、品質や納期を重視し、計画を立ててちゃんと仕事を進めていく文化がありました。先輩や同僚も仕事ができる人ばかりで、高い品質で納期通りに仕事を進めていくという基礎的な部分は、NECで培ったと思っています。
もっと飛び抜けた何かを社会に残したいと考えるようになったことです。もっとすごい人たちと、もっと変わったことを仕掛けてみたいと思ったときに、思い浮かんだのがリクルートでした。
その頃、リクルートは「R25式モバイル」というサービスを展開していました。当時はガラケー向けのいろんなコンテンツがあり、ユーザーは気に入ったものを月額300円くらいで利用していました。そんな時代に、「R25式モバイル」はユーザー側をすべて無料にして、代わりにサービス内の広告でビジネスをスケールさせるということをやり始めていたんです。
「なんてことをやってくる人たちなんだ!」と思いました。この人たちが考えていることや意思決定のプロセスを知りたいと思いました。そして、こういう人たちと一緒に仕事ができれば、これまでにないような、飛び抜けた何かを世の中に提供できるんじゃないか...そう考えてリクルートに飛び込んだんです。
「R25式モバイル」の収益担当として仕事をしていました。ただ、私の未熟さもあり事業を成長させることができず、残念ながらクローズすることになってしまいました。
一緒に仕事をしていた仲間はみんなこのサービスのことが大好きで、いつも夜な夜な熱い議論をしながら運営していました。にも関わらず、組織を解散することになり、この悔しさがめちゃくちゃ強く印象に残っています。

個人的に思い入れがあるとか、「好きだから」という理由だけでなく、事業として成立させることの大切さと難しさを痛感しました。社会にちゃんと残り続けていくものをつくらない限り、つくってはなくなり、つくってはなくなりを繰り返してしまいます。言葉が軽くなってしまうかもしれませんが、しっかりと力をつけなければいけないと強く感じた経験でした。
そして、自分を鍛えるために住宅事業のSUUMOを運営しているカンパニーに異動しました。そのカンパニーは、完成度の高い事業運営の型を持ちながらも、大変革と障害対応が重なる極めて厳しい局面にありました。私は、最も負荷のかかる環境こそやりがいがあり成長できる場だと考え、異動を願い出ました。8年ほど在籍したなかで、集客やアプリ・データ組織の立ち上げ、商品企画、ブランドマネジメント、事業開発など、事業を大きく成長させるために必要なあらゆる領域に携わりました。最終的にはSUUMOというネットプロダクトの責任者として役員も経験し ました。
踏み込みの深さです。深く踏み込むことで、人も事業も変えるということを学び、現在の仕事にも活きていると思っています。
リクルートは本当に踏み込みが深い会社で、たとえば会議をしていても、すぐに「なぜ?」「それで?」「次は何をやるの?」「どうやって?いつまでに?」みたいな、太くて短い言葉が間髪入れずに入ってきます。悪びれることなく、本質に迫るための問いがどんどん出てくるんです。
文化として深く踏み込むだけでなく、仕組みにも落とし込まれています。たとえば事業上の重要なミッションがあるとしたら、半期で何をするかを掲げることは一般的なことだと思います。リクルートでは、半期の目標に対して、いつまでに、何を、どれくらい実現できていると成功なのかを定義し、徹底的に月単位で予定通り進捗しているのか、進捗に遅れが出ているのかを組織だって厳密に迫り、確認するプロセスが確立されています。進捗遅れの部分があれば、とことん踏み込んで深掘りしていきます。このように仕組みに落とし込んで「素通りさせないプロセスマネジメント」を徹底できるところが強みの一つです。
そうですね。パーソナルな領域にも、悪びれることなくグッと入ってきます。「お前、遠慮しすぎだよ」とか「こういうところがあるよね」とか、自分の気持ちの中心にどんどん近づいてくる感じで、最初はものすごい抵抗感がありました。
でも、この深い踏み込みが、自分の可能性を開いていくためにはすごく大事なのだと気づきました。NECにいたときは、比較的お互いの距離を保った上で、相手を尊重し、傷つけたりしないように使う言葉の強さにも気をつけていました。ただ、本質的に人が変わるためには、深く踏み込むことも大切だと学びました。
少し大きな話になりますが、もともと私自身が「気づき」が好きなタイプだったんです。私はゲームも漫画も好きなのですが、何か気づきがあったらすぐにメモを取るクセがあります。
たとえば競走馬を育成するシミュレーションゲームでは、配合パターンとレースの結果をすべて書き残したり、漫画を読んでいて「いいな」と感じたセリフを手帳にメモしたりしていました。気づきが積み上がっていき、気づきをベースに自分の考えや行動が変わっていくことが好きだったんです。

この感覚が大きく揺さぶられたのが、リクルート時代にマネジメントの立場で他者の成長に関わるようになったときです。とてもポテンシャルがあると思っている人から「自分なんて、もうこれ以上可能性はないから、成長しなくてもいい。だからフィードバックもいらない」と言われたことがあり、本当にもったいないと思いました。
一方で、人付き合いがうまくいかず、仕事でも周囲とぶつかる若手メンバーがいました。プロジェクトの進行に、まわりから不安の声が上がることもありましたが、ずっと伴走していくうちに仕事の進め方や他者との接し方が変わり、まわりからの評価も変わったんです。本人にも「自分は変われる」という自己認識が生まれ、結果として、より大きな成果を出せるようになったのです。
これらの経験を振り返ってみたときに、自分は何に喜びや嬉しさを感じるのかを率直に心に問いかけると、やはり私が介在したときに誰かが良い方向に変わった瞬間でした。逆に、変えられないことに大きなもどかしさや悔しさを感じる。そういうことを、改めて考えました。
そして、もっと幅広く多くの人に、良い方向に変わる瞬間を届けたい。対面はもちろん、インターネットの技術も活かしながら、いろんな人に学びを通じて自分の可能性を開く体験を提供できたら、どんなに素晴らしいだろうと思いました。そう思っていたときに、スクーという会社が私のやりたいことと一番合うのではないかと考えたんです。
自分の中で、社会と個人の真ん中に「学び」があると定義したからです。何かを学んで、そこに気づきがあったからこそ、自分の興味がどこに向いているのかがわかったり、逆に選択肢が広がったりする。学びを通じて個人の可能性が広がったり、深まったりしていき、可能性が社会とつながっていく。そのようにイメージしました。
そして、真ん中にある「学び」を変えていくことで、世の中に貢献できると思いました。GDPがどれだけ成長しても、幸せ指数のようなものが変わっていないといった情報をみたときに、「じゃあ何のために経済成長を目指すんだっけ?」と疑問を持ちました。人の行動や選択を変えるのは、環境よりも認知であり、その認知を更新できるのが「学び」だと私は考えました。社会と個人、その両方をつな ぐ中心点に学びがある。そして、この領域には、まだ誰も実現していない仕組みがある。だからこそ、そこに挑戦する仕事こそが最も大きな価値を生む。そう確信しました。
そして何より、学びを起点に社会を変えるという思想において、最も強く共鳴できたのが創業者の森でした。その存在に導かれ、私はスクーを選びました。

『世の中から卒業をなくす』をミッションに掲げ、大人たちの学びの障壁を取り除いていきながら個人の選択肢を増やしていく。そうすることで、社会を良くしていく。そういうことを目指しています。
現在4つの事業を展開しています。個人向けのオンライン学習サービスである『Schoo for Personal』、そして法人向けの『Schoo for Business』、高等教育機関向けDXサービス、そして地域創生のサービスです。
いろいろ な事業がありますが、個人向けサービスの『Schoo for Personal』がベースになっています。最大の特徴は、365日生放送を配信し続けていることです。サービス設計は学習者本位です。学び手が自分の未来に向けて、いま学ぶべきテーマを定義し、受講していきます。私たちとしては、学び手が「受けたい」「受けて良かった」と思ってもらえる授業をお届けできるように、テーマや講師をじっくり検討して運営し続けています。
実現したいのは「いつでも、誰かと一緒に学べる世界」です。生放送は、情報を受け取る場ではありません。考え方がぶつかり、揺らぎ、新しい視点が生まれる場です。人とのやり取りの中でしか起きない気づきがある。だから私は、生放送にこだわっています。
講師の方と受講生のやり取り、受講生同士のやり取り、司会の方からの問いかけやそれに対する反応。これらが積み重なって、みんなでつくり上げていく学びの形が生放送です。
受講生が「これはわからない」「どういうことだろう?」と疑問を発信してくれることもありますし、講師の方が「ここはこういうことだよね」と解釈を入れてくれることもあります。リアクションやコ メントから「なるほど!」「わかった!」と受講生が気づきを得た瞬間もわかります。
そういった学びの現場の様子を、そのままアーカイブ化して動画で提供しています。この動画を見ることで、生放送には参加していなかったとしても、自分と違う視点に出会えたり、「こんなにカジュアルに『なるほど!』と言ってもいいんだ」といった安心感にも近い気づきが得られたりします。みんなで学びをつくり上げていく様子や気づきが生まれる瞬間を動画化するためにも、学びをつまらないものでなくすためにも、生放送にこだわり続けています。
生放送は、2012年からやり続けていて、アーカイブ化された動画は9,000本に達しています。デジタルリテラシーやビジネス基礎力、思考術・自己啓発といったものから、リベラルアーツや起業・複業・キャリア、お金、ヘルスケアなど、あらゆるテーマが揃っています。それを、月額980円で見放題というサブスクで提供しているのが『Schoo for Personal』です。

法人向けの『Schoo for Business』も、基本的には同じ設計思想です。ただ、動画の学習プラットフォームにとどまっておらず、研修の設計や実施、テスト・アンケート、受講管理に加え、動画を参加者同士がチャットを通じて一緒に学べる集合学習など、企業内での必須研修から自律的な学習まで幅広いニーズに対応できる機能を備えています。さらに、学びを実践や成果へとつなげるための仕組みも重視しています。ワークショップの実行支援や、短期間での集中学習とアウトプットを組み合わせた「ゼミ」など、理解で終わらない学習体験を提供しています。プラットフォームでは、累計で4,500社以上にご利用いただいていて、会社の売上の大部分を担っています。
個人向けサービスで培った「学び続けたくなる体験と思想」を、法人向けにも展開できているからです。
問題に対して回答を得るだけなら、それこそAIでいいと思うんです。でも、学びとは本来、答えを受け取る行為ではありません。新しい情報や考え方に触れ、他者の視点に出会い、自分の前提が揺れる。この「揺らぎ」こそが、人を変える。そして不思議なことに、そういう学びは、圧倒的に楽しい。だから人は、また学びたくなるのです。
仕事で目標を立てるときも、「これを実現したい」という考えが何もないところから生まれるわけではなくて、実はまわりの人からの影響をたくさん受けています。「あの人みたいになりたい」といった憧れの気持ちもあるでしょうし、逆に「こうはなりたくない」とい うこともあるでしょう。他者の目標や姿勢に触れることで、「こういう考え方ややり方もあるのか」と視野が広がり、その気づきをきっかけに、「では自分は何を目指すのか」という意志が立ち上がっていく。こうした変化は、私たちの仕事や日常の中で、ごく自然に繰り返されているのではないでしょうか。
おっしゃる通りです。無味乾燥な答えを知るためのプロセスではなく、まわりからエネルギーをもらったり、こちらから気づきや発見を渡したり、人とのつながりを通じてやり取りされ、学び合うことで次のアクションにつながっていく。「学び」とはそういうものだと定義しています。
この定義を満たすためには、受講者が自発的に学びたいと思えるテーマがあることが重要です。個人向けサービスであらゆるテーマの動画を9,000本もアーカイブ化し、そのプラットフォームを法人向けサービスでも利用できるため、法人のお客様に対しても自発的に学べる環境を提供できます。これにより、高い学習効果と学びの定着化を実現しています。
私たちは、学びのハードルを低くしたいと考えていますので、そう感じていただけるのはうれしいですね。「学べる人だけが学ぶ」ということを世の中から減らし、いろんな人の身近に学びがある環境をつくりたいと思っています。
実際に、私たちは日々多くのことを学んでいるはずです。誰かとの会話の中にも発見がありますし、テレビでクイズ番組を見ていても学びがある。ニュース番組だってそうです。いろんなところに学びが散りばめられていて、私たちは少なからず学びを得ていると思います。それでも、「学んでいない」と言う人が多い。それって、身近にある発見や気づきを「学び」だと定義していないだけだと思っています。
だからこそ、学びのハードルを低くすることが大切です。「こうなりたい。だからこれを学ばなければいけない」という捉え方だけではなく、「気になる」とか「あの人と一緒に学びたい」といった気持ちにフックするように、カジュアルな入口をつくる。そうすることで、継続可能な学びを提供できると考えています。
2020年からは、特定の時間に複数人で同時視聴し、チャットで対話しながら学べる「集合学習機能」を実装しました。これによって、アーカイブ動画であっても生放送のような学び合いを体験できるようになっています。

法人向けのサービスにおいても工夫をしています。これまでは、会社から与えられる学びを受け取ることがほとんどだったと思います。終身雇用を前提に、会社が求める「良い人材」に成長してほしいから、社員に学びの機会を提供する。社員はそれに応える。それがお互いにとって合理的でした。
しかし、「これを学んでください」「わかりました。学びます」という関係はすでに崩壊しています。企業が社員の雇用を永続的に保証できる時代ではなくなり、社員にとっても特定の環境でしか通用しないスキルだけではリスクが高いです。
とはいえ、「自由に学んでください」というだけでは学びは始まりません。重要なのは、個人の意思に委ねるだけでなく、企業として必ず学んでほしい内容を起点として設計することだと考えています。たとえば、階層別研修やコンプライアンス研修のような指定型の学びを一つの入口としながら、そこに実務や個人の関心と結びつく学びを連動させていく。この構造によって、学びは組織の中に定着していきます。
社内ではこの関係性を「縦糸と横糸」と表現しています。企業が必須とする学びという縦糸と、個人が主体的に選び学ぶという横糸。この二つを適切に編み込むことが、持続的な学習文化を生み出す鍵になります。その実現を支えるために、スクー では学習設計や運用を支援するコンサルティングサービスも拡張しています。
個人向けの『Schoo for Personal』、法人向けの『Schoo for Business』、そして高等教育機関向けDXサービスの3つの事業を管轄しながら、事業を拡大するためのプロセス管理や事業戦略づくり、組織のオペレーション実行を担当しています。
事業の成長と組織の成長を両輪で回すことで、ミッションの実現に近づいていくと考えていますが、もちろん簡単ではありません。会社のミッション、代表・森の中にあるやりたいことや方向性などを深く理解し、自分の言葉に落とし込みながら現場と接続していく。そうすることで、事業運営を進めていくことが大切です。正解はひとつじゃない中で、自分たちにとって正しいと思えるものを見つけ、それを信じて事業と組織と現場に落とし込んでいくことが私の役割だと思っています。
自分たちにとって正しいと思えるものを見つける際には、二律背反がたくさんあります。短期と中長期、理想とリアル、組織においても事業組織がいいのか、それとも機能組織がいいのか。さらには、自分たちが目指す世界と顧客やユーザーが求めているニーズ。こういった二律背反をすり合わせる役割は必ず必要になりますから、そこも私の仕事ですね。
たとえば、自分たちの中で大切にしないといけないことがあるにも関わらず、目の前の顧客のニーズに寄りすぎてしまい、本来の強みを損なうようなことになってしまう。そういう状況に直面した場合は、強みを毀損するリスクを避けつつ、顧客のニーズにも応えられる着地点を探します。
少し具体的にすると、顧客からは「60分の動画は長い」「もっと短尺で、5分くらいの動画にしてほしい」といった声をいただくことがあります。ただ、それをそのまま反映して、60分の授業形態をなくしてしまったら、私たちの強みである「みんなと対話しながら学ぶ体験」がなくなってしまい、単なる答えを得るためのものになってしまいます。

そのため、「短い動画を上手に組み合わせることが必要かもしれないけれど、短い動画ばかり にするのは違うよね」と微調整をしていく。自分たちが実現したい世界観や持っている強みをブラさず、顧客の声にも耳を傾けながら、事業としても成立するように施策のチューニングをしています。
自分たちで「正解を正解にしていく」ことでしょうか。これは特にスクー時代に身についたものなのですが、絶対的な正解を探すのではなく、自分たちとして正しいと思える正解を定義し、それを信じて力強く正解にしていくという考え方です。
世の中には唯一の正解があると思われがちですが、実際には何かひとつに特定できるものではないと考えています。たとえば人事評価制度でいえば、大企業で一般的だとされているものが、スクーでも有効かというと、必ずしもそうではありません。組織の規模や社員の習熟度が違うためです。つまり、その時々で自分たちなりの正解を定義し、それを形にしていくプロセスがとても大切だと思っています。
そうです。特に私たちのよ うなスタートアップの場合、環境が不確実ですから「ここを目指せば大丈夫」といった唯一の正解なんてものは最初から存在しないと思っています。外部も、内部も、次々と変わっていく状況に応じて、「自分たちの正解」を定義し、決めたことをやり切ることで正解へと変えていく。このスタンスが非常に重要だと考えています。
世の中に唯一の正解はないと言いましたが、絶対的な正解だと思っていることがあります。それは、「変わり続けること」です。
私はラーメンの一風堂が好きなのですが、創業者の河原さんという方の言葉に「変わらないために変わり続ける」というものがあります。ずっと同じ味のラーメンを出しているように見えて、その時々のトレンドや地域ごとの好みの味を踏まえ、少しずつ味付けを変えたりしているそうです。お店に来てくださるたくさんのお客様に、これからも変わらず一風堂のラーメンを好きでいてもらいたい。だからこそ、変わり続けることを大切にしている。そういう話なのですが、すごく好きなエピソードなんです。

世の中も、自分たちも変わりますし、テクノロジーの進化で提供できるサービスのあり方も変わっていくと思います。個人・法人問わず、顧客のニーズも変わっていきますし、私たちの組織の形も変えていく必要があると思います。
でも、私たちのミッションである『世の中から卒業をなくす』という本質は変えない。その代わり、ミッション実現に向けた手法や提供するサービスの形は、時代やニーズに合わせて常にアップデートをしていく。これが私なりの「変わらないために変わり続ける」ということです。
変わり続けることが大切であるという考えを持った上で、これからのスクーという組織においては、変わることや挑戦すること自体をいま以上に面白がっていきたいと考えています。
向かうべき方向はいまの延長線上にあるとは限りませんし、スタートアップ企業として、またグロース企業として、これまで以上に進化しなければいけません。セオリーにはないことも仕掛けていく必要があるかもしれませんし、リスクを取って不確実なものにもチャレンジすることもあるはずです。
状況が変わることは当たり前で、個人の業務においてもこれまで通りでいい仕事はほとんどないでしょう。失敗しないことを優先するとか安全な選択だけをするというマインドではなく、リスクも飲み込んだ上でこれまでにない挑戦をしていきたいです。そのため、個人においては挑戦の過程を面白がれることが必要ですし、組織としてもそういった雰囲気をもっとつくっていきたいと考えています。
私がスクーを通じて実現していきたいのは、「効力感」をつくっていくことです。個人や企業はもちろん、地域や社会においても、効力感をつくることにこだわっていきたいと考えています。自己効力感とか組織効力感、あと個人的な造語ですが社会効力感。そういったものをたくさん生み出していきたいです。
個人も、企業も、地域も、社会も、本来であればたくさんの可能性に満ち溢れているはずです。でも、「自分はできない」とか「もう変われない」「ダメかもしれない」みたいに、可能性に目を向けず、諦めてしまっていることがいっぱいあると思っています。
ないものばかりを考えるのではなく、これまでできたこと、いまできていること、これからやりたいことに目を向け、それをきっかけに変化していくことで、個人や組織に効力感を生み出していきたいと考えています。
「自分はできる」「この組織はできる」という空気を、自らの行動によってつくれるようにしていきたい。その起点になるのが、「学び」だと思っています。学びを通じて知らなかったことを知り、できなかったことができるようになる。そういった経験が次の学びにつながりますし、周囲にも良い影響を与えるはずです。お互いにプラスの影響を与え合いながら、個人や企業、地域や社会が変わっていく。そういうことをスクーの事業を通じて世の中に提供していきたいと思っています。
そのためにも、学びの場を増やしていく必要があります。個人向け、企業向けのプラットフォームや企業内で学びの機会を増やすだけではなく、たとえばオフラインで行う地域の学びの場があってもいいですよね。学びの場や学ぶ機会を増やし、広げていくために、もっと仕掛けていきたいと思っています。

前提として大切なのは、私たちのミッションに共感で き、その実現に向けて心を燃やせること。そして、変化や挑戦を面白がれることです。
その上で採用についてお伝えすると、特定のポジションに限定せず、幅広く採用強化中です。職種もそうですが、メンバークラス、マネジメントクラス、ハイクラスとレイヤーもさまざまです。そして、求めるマインドセットとしては「役割を超えて染み出せること」です。
スクーはいま約250名の組織ですが、これからも従業員数が増え、組織の数が増えていきます。役割やテリトリーが明確になるところも増えていくはずです。そうなると、再現性や効率は高まるものの、どうしても「自分の役割」や「自分たちのテリトリー」に目が向くようになると思います。
しかし、「管轄外だから」とか「ルールが明確になっていないから」という理由で組織が硬直化してしまうと、大きな目的を果たすことができません。ミッションを実現に近づけ、業績目標を達成していくためには、部門をまたいだ対話はもちろん、ときには役割や社内ルールを一時的に超えた動きも必要になってくるからです。
そのため、自分の役割だけに閉じこもるのではなく、目的から逆算していま取るべきアクションを考え、必要であれば自ら役割やテリトリーの外に染み出していける。そういうマインドをお持ちの方であれば、きっとこれからのスクーで活躍していただけると思います。
全員そうだと思います。スクーに入社するメンバーの多くは、「学び」そのものに関心があるだけでなく、学びを通じて人や組織、さらには社会そのものに変化を生み出したいという強い問題意識や使命感を持っています。単に知識を得ることへの興味ではなく、「学びには人や社会を変える力がある」という感覚を自然に共有している人が集まっていると感じています。
一番変わった、成長できたと感じるのは、先ほども少し触れた「正解を探すのではなく、正解をつくっていくスタンス」が熟成され、身についたことです。これはいわば「正解観」の転換だったと思います。固定的な正解を外部に求めて探索する姿勢から、置かれた文脈や前提条件に応じて、自分たちなりの正解を構築し、実現していく姿勢への移行です。
私が入社した2018年当時のスクーは、正社員が30人くらいの規模でした 。それまで所属していたNECやリクルートは比較的従業員の多い会社だったので、スクーで働くにあたってはいろんなものが揃っている前提で物事を考えてはいけないと思っていました。そして、「いまあるものをどのように活用すれば目指す世界に近づけるのか」を考えるようになりました。
たとえば人材育成においては、前職のリクルートでは「Will・Can・Must」の3つが大事で、それぞれをぐるぐる回したほうがいいという考え方が多かったです。だから私も、同じように実行し続けていました。
ところが当時のスクーの規模や事業フェーズだと、マネージャーもみんなプレイングです。「Will・Can・Must」をすべて管理できるかというと難しい。多すぎて、結局どれも手につかないということになりがちでした。だから重みをつけるというか、まずは現実的な「Can」にしっかりと向き合い、その先にある「Will」を見据えながら、「Must」を回していくというほうが、自分たちにとっては正解なのではないかと考えました。
そこで、マネジメントシステムを変えていきました。KPIも細かく分解して、指標ごとに別の責任者を立てていきました。管理する側のマネジメントスキルや習熟度も異なるので、最初は「個」にフォーカスを当てていったんです。

世の中で広く「正解」とされていることは受け入れつつも、それがそのまま自分たちの状況に合うかというと必ずしもそうではなくて。大切なのは一般的な正解ではなく、「そのときの自分たちにとっての正解」を定義すること。そして、「この定義で正しかったね」といえるように、実行を頑張ってみんなで正解にしていくことが大切だと思います。
誰も気づいていないことや、実現できるかわからないことに挑戦し、形にしていくのがスタートアップとしての存在意義だと思っています。その存在意義を感じながら、実現したい世界を目指して日々の頑張りを正解にしていく。このスタンスで仕事ができるようになったことが、私にとっては大きな学びであり、変化だと思いますね。
そうですね。一番の魅力は、少しも同じ瞬間がないことだと思います。変わり続けることが大切だというのは先ほどお伝えした通りですが、ずっと変化と発明をし続けることを会社のポリシーにしているからです。
私たちは『Laboratory #105』というフィロソフィーを掲げているのですが、この「105」というのは、創業時に事務所を構えていたマンションの部屋番号 なんです。まだ世の中にない価値をつくり続ける研究所であるために、「学び、学ぶ人を助ける」「変化し、変化させる」「尊重し、尊重される」という価値観を大切にしています。この価値観がある限り、自分たちは停滞することなく変わり続けていくと思います。たとえ環境が大きく変化し、打ち手が少なくなったとしても、さまざまな取り組みはやめることなく新しい発明を生み出す集団であり続けたいと考えています。
『世の中から卒業をなくす』ために、学ぶこと、変わることに前向きな人たちが集まり、ミッションを実現するための価値観を大切にしながら、仕事をしている。この一本の線が会社の中にしっかりと通っているところが、大きな魅力なのだと思います。
学びというのはまだまだ限定的で、広く社会に実装されていないと考えています。それはなぜなのか。どうすればもっと楽しく、継続できるようになるのか。どうすれば大変なこと、難しいこと、綺麗事ではなく、身近で、人生を豊かにしてくれるものとして多くの人に受け入れられるのか。
こういった問いに向き合いながら、サービスを受け取る側じゃなく、つくる側になれる。これはものすごく面白いことではないでしょうか。しかも、顧客の課題を見ながら、事業としてのリアリズムを持って進めていくわけです。この環境は、とてもエキサイティングだと思います。


株式会社ディプコア 代表取締役CEO
今回の取材に先立ち、Schooのアーカイブ動画をいくつか視聴しました。印象的だったのは、コメント欄の空気感です。 自分の苦手な点を率直に開示する人がいれば、講師の方 の解説に「わかりやすい」と感想を述べる人もいます。どれも肩肘を張ったものではなく、受講者がカジュアルに意見や気づきを共有していました。他の受講者の投稿に「なるほど!」とリアクションを返せる仕組みもあり、ポジティブな反応が自然と連鎖していく空間だと感じました。 実名でのログインが基本であることや「授業と関係のないコメントをした場合は投稿を制限することがある」といったアナウンスからは、自由と秩序を両立させながら学び合える環境をつくろうとする同社の姿勢が伝わってきます。 時代や状況に合わせて、この空間のあり方は今後もチューニングされていくのでしょう。しかし、前向きに学び合える空気そのものは、きっと変わらないのだと思います。


2025.10.31 公開

2025.11.10 公開

