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東大入学式の翌日から大学には行かず農業の世界へ。アグリぺディア石田が描く「メガファーム構想」は日本の農業を変えるのか。
2026.02.27 公開
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2026.02.27 公開
アグリぺディア株式会社 代表取締役 石田 渡
設立:2019年
事業内容:業務用農産物流通事業、資材販売事業、農家向け栽培指導 など

PARTNERS FUND 代表パートナー
石田さんとの出会いは2017年。印象に残っているのは、人を惹き込む「大志」でした。石田さんに惚れて、投資させてくださいとお願いしたのですがあっさり断られ、そこから3年、三顧の礼を尽くし、最後は奥様プレゼント作戦で投資に至りました。 社名を変え、事業も3度ピポッドし、潰れそうになり(笑)様々な困難がありましたが、大志はより研ぎ澄まされてきました。アグリぺディアはきっと、日本の農業を100年に渡り支えるインフラになります。そんな未来が楽しみですし、飛矢のように真っ直ぐな石田さんにフルコミットしつづけます!
農林水産省が実施する大規模統計調査「農林業センサス」によると、日本の基幹的農業従事者(※)は1960年の1,175万人をピークに減少を続け、2025年11月に公表された「2025年農林業センサス結果の概要(概数値)」では102万人となっている。同じく農林水産省の「令和6年度 食料・農業・農村白書」(令和7年5月30日公表)では、基幹的農業従事者の平均年齢は69.2歳となっており、高齢化が進んでいる。
こうした厳しい環境の中、小規模農家に代わる新たな担い手として注目されているのが大規模農業法人である。規模の大きな農業法人を中心としたサプライチェーン構築を目指し、2019年に創業されたのがアグリぺディア株式会社だ。
現在はアルバイトも含めると約30名体制。BtoB農産物流通事業を軸に、農業資材の提供やJGAP認証(※)取得支援、人材派遣など、大規模農業法人に特化した包括的なサポート事業を展開している。今回はそんなアグリぺディア株式会社の石田渡代表に、ThinkD単独でじっくりお話を伺った。
(※)基幹的農業従事者:個人経営体における15歳以上の世帯員のうち、主に自営農業に従事している者。
(※)JGAP認証:「Japan Good Agricultural Practice(良い農業の取り組み)」の略。農畜産物の生産過程で生産者が守るべき管理基準とその取り組みを指す日本の農業版認証制度。
アグリぺディア株式会社の石田と申します。宮崎県出身で、父方は精神科医や学者などの医学系の家系で、母方は焼酎の製造や木 材の輸入会社などをやっている家系でした。幼い頃から研究や事業が身近にあったので、将来は何かを突き詰めて世の中に良いインパクトを与えたいと何となく考えていました。
高校を卒業するまで宮崎にいたのですが、「自分でビジネスをやりたい」という気持ちはずっと持ち続けていて、このエネルギーをどこに向ければいいかを考えた結果、ひとまず東京に出ようと考えました。
勉強も好きだったので、頑張って勉強して東京大学に合格し、2013年の4月に晴れて東京に進出できたという経緯になります。

4月1日に大学の入学式に行ったのですが、そこでカルチャーショックというか、結構な衝撃を受けました。私は宮崎で勉強ばかりしていて、通っていた高校も「アルバイトは禁止」「髪を染めるのは禁止」という真面目な学校でした。そのため、自分と同じような人がたくさんいるんだろうなと漠然と思っていました。
すると、入学式の両隣が金髪だったんです(笑)。宮崎から上京してきた芋っぽい私としては、「あれ?思っていたのと違うぞ」という感じで焦ってしまいました。同時に、「この環境で4年間、大学院まで含めるとさらに長い期間を過ごすより、もっと早く動き出したい」と思い、次の日から休学し、大学に行かなくなってしまいました。
とはいえ、生活のためにもお金を稼がなくちゃいけないということで、アルバイトサイトで仕事を探し、見つけたのがアグリコネクトという会社になります。当時、創業から1ヶ月ほどの立ち上げたばかりの会社で、「自分で会社をつくるときの勉強になるぞ」と思い、応募しました。
雑用も含めて、いろんなことをしていましたね。創業者の3人が船井総研のコンサルタント出身で、その3人がプロジェクトを獲得してくるのでそのサポートをしていました。資料を作ったり、テレアポをしたりと、本当にいろいろです。
アグリコネクトの事業内容はいくつかあるのですが、そのひとつが、農業法人向けのコンサルティングでした。少し専門的な話になるかもしれませんが、2000年に農地法の改正がありました。これにより、個人が法人を設立し組織的に農業経営することが可能になりました。
この変化を受け、2013年当時は、農業法人が増加傾向にあったんです。新たな販売先の確保。それに、人の採用といった経営に関する悩みを持つところが出てきていたので、アグリコネクトがそのコンサルティングを行っていたという形です。
私は時間がたっぷりあったので「できるだけシフトに入ります」と、丁稚奉公のような感じで働き始めました。アルバイトを始めて1年くらいで「正社員にならないか」と声をかけていただき、すぐに社員になりました。アグリコネクトには、合計で5年ほどお世話になっていました。
そうですね。アグリコネクトでの仕事を通じて大規模な農業法人との出会いがいくつもあり、それが私の起業に大きく影響を与えていると思います。

私が生まれ育った宮崎でも、身近に農業がありました。おじいちゃん・おばあちゃんの小規模農家さんばかりで、言い方は悪いですが、少しずつ縮小していく産業だと思っていました。その後、アグリコネクトで働くようになり、ある現場に連れて行っていただいたのですが、そのときに私の農業に対する認識が大きく変わりました。
あれはアグリコネクトで働き始めたばかりのことだったと思います。ある農業法人さんのところに行くというので同行させていただきました。社長の方は当時30代前半くらい。一区画とか二区画くらいの規模かと思っていたら、数十区画の畑をお持ちでした。聞けば、まわりのおじいちゃん・おばあちゃんが農業を続けられなくなり、譲り受ける形で農地がどんどん集まってきたそうです。
その社長は「少しずつ農地を広げていき、自分たちで経営を頑張って事業を大きくしていく。そうすることで、経済的にも環境的にもこの地域を守っていきたい。それが自分の役割だと思っています」ということをおっしゃっていました。
それを聞いて、産業のあり方が変わっていることを肌で感じた気がしました。歴史が変わるタイミングに立ち会っているというか、「日本の農業が変化していく、そういう時期に自分はいるんだ」という気がして、すごくモチベーションを感じたんです。
そこからいろいろな仕事を通じて経験を積み、自分で事業をするための準備を進めていきました。そして、2019年に会社を登記し、実際に事業を始めたのは2020年の末ごろです。長野県の農業法人さんとの出会いから、7〜8年くらいかけて事業を開始したという経緯になります。
最初は農家さん向けの栽培コンサルティングを生業にしようとしました。農地法の改正を経て、大規模な農業法人が増えていくと思っていたので、そういった農家さんのサポートをしたいと考えており、そのためのひとつとして選んだのが栽培のコンサルティングでした。
簡単にいうとデータの提供です。海外にも似たような事業者があるのですが、農家さんから栽培のデータを集め、それを取りまとめて提供するというモデルになります。
たとえばお米だと、「コシヒカリ」とか「ひとめぼれ」とか様々な品種がありますよね。日本全国で多くの農家さんがお米を育てているので、栽培方法や投入した肥料の種類、実際に収穫できた量や得られた売上などを共有してもらい、それを取りまとめてレポートとして提供するんです。
九州のこのエリアであれば、この品種を栽培すると高い収穫量が見込めるとか。東北のこのエリアなら、この品種が合うとか。エリアごとの気候や土地柄の情報、あとはどこに販売するとどれくらいで買い取っ てもらえたといった情報と掛け合わせることで、農家さんにとって有益なデータを提供できると考えました。
私もそう思っていたのですが、データ提供による栽培コンサルティングはまったくうまくいきませんでした。
一つ目の理由は、価格の問題です。JAさんの栽培支援は基本的に無料なので、農家さん側に「情報にお金を払う」という発想がありませんでした。どれだけ価値のあるレポートを出しても、支払っていただける金額は限定的で、事業として成立させるのは難しかったです。
二つ目は、成果が証明されるまでに時間がかかることです。栽培の改善効果は早くても1年後にしか見えませんし、その間に猛暑や台風といった外部要因が入ると、成果がコンサルの効果なのか判断しづらくなってしまいます。結果として、「これを使えば確実に良くなる」という成功イメージを持ってもらうことが難しかったです。
このように「価格を取れない」「成果が証明されにくい」という構造的な課題があり、事業として成立しないと判断して、半年ほどで見切りをつけました。そして、試行錯誤を繰り返した結果、たどり着いたのが農産物流通事業です。
きっかけは、農家さんとの会話で出てきた「収益インパクトが一番大きいのは、新しい販売先を見つけてもらうことだよ」という言葉でした。

たまたまその農家さんが新しい販売先を探したこともあり、私たちで請け負うことにしました。いろんな食品工場にテレアポをしていたのですが、はじめて10日くらいで大手の関連工場が「買いたい」と言ってくださったんです。取引実績がなかったにも関わらず決めていただけたので、驚きました。
「ほかにも需要があるかもしれない」ということで、食品工場と大規模農業法人をつなぐ農産物流通事業を始めることにしました。商社的な立ち位置といえばイメージしやすいかもしれません。
この事業をメインに、目指しているのは食品工場と大規模農業法人の間に私たちが入り、ムダを削減した高品質な流通を実現するモデルです。
BtoBの農産物市場は、外食や中食需要の拡大で市場は成 長しているものの、流通網の整備が進んでいない課題がありました。農家さんとしては事業を拡大するために販売先を増やしたいニーズがあり、食品工場としては調達の安定化や調達管理コストを削減したいというニーズがありました。私たちがハブになることで、これらを実現していきたいと考えています。

JAさんとの大きな違いは関わる農家さんの規模です。私たちは中〜大規模の農業法人との取引が中心となっています。JAさんは成り立ちとして小規模な個人農家さんとの取引が多いものと認識しています。
また、競合関係になるのかという質問に対してですが、私は補完関係にあると考えています。
いま全国におよそ500件ほどのJAさんがありますが、「小規模な農家さんだけで地域の農業を維持することはなかなか難しい」というのが共通の認識だと思います。地域の中核となる中・大規模な農業法人が成長し、農地を守り雇用を産むことが、結果として地域農業・JAさんの基盤を守ることにもつながると考えています。
農家さん向けに安全認証を取得するための支援もやっているのですが、そういったセミナーをJAさんと一緒に開催することもあります。地域によって差があるかもしれませんが、JAさんの中には、私たちの取り組みをポジティブに受け取ってくださっているところもあると感じています。
あくまで私個人の意見ですが、先に結論をお伝えすると、食糧供給がより不安定な状態に向かっていくと考えています。
どんな産業にも、良い時期とそうじゃない時期があります。日本の農業も同様で、数十年や数百年というスパンで見てみると、いろんな変遷があったという認識です。
古い話ですが、江戸時代には何度も飢饉が起きています。自然災害で不作が続き、特に東北地方ではひどい状況だったといわれています。仮にこれを暗い時代だとするならば、1950年以降は明るい時代です。
政府と農林水産省、そしてJAさんなどの農業団体がしっかりと連携し、 「農政トライアングル」と呼ばれる強固な構造をつくりました。政治が安定していたことに加え、機械化が急速に進みました。トラクターが導入され、現場では生産性が高まり、食糧供給が安定しました。農業従事者数も全国で1,000万人を超えていました。

そこから半世紀以上経ち、明るい時代は終わりつつあります。1,000万人以上だった農業従事者数は100万人を切りそうです。産業人口がピーク時の10分の1になると、1,000万人が使うことを前提とした制度や仕組みに、うまくいかない部分が出てきます。
そんな状況を変えようと、2000年の農地法改正もあって、大規模農業法人が登場しました。その数は明らかに増えているのですが、法人が各地域に点在し、つながっていないという課題があります。連帯せず、各法人ごとの経営方針で農業を行いつづけた場合には、食糧供給という意味では不安定な時代に向かっていくのではないでしょうか。
農産物なのでどうしても天候に影響される部分は出てくるのですが、やはり大規模農業法人が連帯して安定供給を目指す必要があると思います。そうしなければ、先日の「令和の米騒動」のような騒ぎや混乱が、お米以外にもいろんな品目で、しかも高頻度に発生すると考えています。
年間で1億円以上の売上がある大規模農業法人のことを、私たちは『メガファーム』と呼んでいるのですが、まずはこのメガファームを増やすこと。そして、個別のメガファームを取りまとめて大きな供給力をつくり、全国展開しているブランドの食品工場の調達を請け負えるだけのサプライチェーンをつくること。こういったことに注力しています。

食品工場には安定的に、かつ大きなロットで納品する必要があります。ひとつのメガファームだけでそれを賄うことはできないので、複数のメガファームを独自のプラットフォームでつなぎ、大きな発注に対してみんなで対応していきます。
また、それぞれのメガファームには新しい販売先の提供に加えて、収穫した農産物の配送や梱包であったり、新しい資材や肥料の購入、人の採用という部分でもサポートをしていきます。加えて、提供先である食品工場は求める品質レベルが高いので、メガファームに対して生産者が 守るべき生産管理基準であるJGAP認証取得支援なども行っています。
データやテクノロジーの活用だと考えています。これまでの農家さんのやり方は、経験と先祖代々の農地や品目を大切にした家族型経営でした。そこを、データとテクノロジーを活用した『農知経営』に転換していく必要があると考えています。『農知経営』は私たちの造語ですが、農業をビジネスとして成長させていくために、さまざまな知見や知恵を活用していく経営スタイルのことです。
その実現に向けて、開発を進めているのが独自のデータプラットフォームです。これは農産物の受発注やサプライチェーンを自動化することを目的にしているもので、電話で行っていた受発注業務を画面上のデータで管理できるようにしたり、農家さんの経営状態の可視化や生産物の品質管理を行えるようにしたものです。
このプラットフォームを使えば、たとえばある食品工場さんから数十トンのキャベツの発注をいただいた際に、いろんな農家さんが自動でマッチングされるようになります。それぞれの生産状況や過去に出荷した農産物の品質、契約の履行率、単価などあらゆるデータが入力されているので、発注内容に対応で きる農家さんが自動で抽出される仕組みです。
数十トンの発注に対して、「愛知県のAさん、茨城県のBさん、兵庫県のCさん、宮崎県のDさんに依頼しよう」という処理をシステムで行います。その際、納品先までの物流コストも計算に入れ、できる限りムダのない状態でマッチングされるように開発を進めています。
このプラットフォームが完成すれば、食品工場側には圧倒的な業務効率化を提供できます。これまでは数十トンのキャベツを調達するために、多くの生産者と個別に連絡を取る必要がありました。聞けば、調達担当者が1人で数百社ほどのサプライヤーを担当していた例もあります。そうしたやり取りが、発注情報をシステムに入力するだけで完結するようになります。
一方で、この仕組みは食品工場ごとの細かな品質要件にも対応できるよう設計しています。たとえばある食品工場では、加工機械の仕様上、キャベツ1玉の幅にも決まりがあります。同じキャベツでも、別の食品工場では大きさは問われないものの、品質の要求レベルが非常に高く、葉にチップバーンと呼ばれる黒い斑点があるものは使えないといった基準があります。
こうしたオーダーの違いにも対応できるよう、農家さん側からは生産したキャベツに関するさまざまなデータを提供してもらい、多くの指標でスコア化できるようにしています。

農家さん側としては、自分たちのパフォーマンスが可視化されるため、事業を拡大するためのデータとして活用できます。「取り扱う品目を増やしたほうが売上が上がりそうだ」とか、「この品質を維持したまま収量を増やすにはどうすればいいか」といった判断をデータに基づいて積み上げていくことで、売上1億円以上のメガファームが少しずつ増えていくと考えています。
─────とても興味深い構想だと思います。御社独自のプラットフォームは、いまどのようなフェーズなのでしょうか?
いまは特定の取引先にトライアルで使ってもらっている段階です。私たちが想定していないような指標があるかもしれませんから、リアルな現場の情報をできるだけ多く集め、データベースに蓄積しているところです。
ゆくゆくはSaaSとして外部に展開しようと考えていますが、もう少し時間がかかると考えていて、それまでは商社としての立ち位置で成長していきたいと思っています。ある程度大きな規模の取引を扱えるようにならなければ、サプライチェーンの自動化は難しいと考えているためです。
まずは農産物を売買した際の差益です。もうひとつは、大規模農業法人に対するクロスセルです。農薬を大きなロットで販売したり、収穫時期に専門のスタッフを手配するなどしています。農産物の売買の差益はどんどん大きくなっていくのですが、どうしても天候や生育状況などで変動します。そのため、クロスセルの部分でしっかりと収益をあげていく考えです。
近々事業化しようと思っているのは、農家さん向けの金融支援です。私たちがお付き合いしている農家さんは3,000万円くらいをかけて肥料や種を買ったりするのですが、作物が成長してお金になるのに半年ほどかかります。売上として5,000万円入ってくるものの、それだとキャッシュフローが悪くなってしまうため、ファクタリングなどを含めた金融支援事業で少しでも経営を支えていきたい。
まとめると、現在展開している農産物流通事業と資材販売事業、人材支援事業、そして数年以内には金融支援を事業化する予定です。現在トライアル段階のプラットフォームが完成すれば、これらの事業と連携させ、農家さんのメガファーム化を加速させたいと考えています。
まず中期的には、農産物流通事業を中心としてサプライチェーン全体を抑えて、様々なデータを確保していく。そしてプラットフォームを完成させ、SaaSでのサービス提供を実現する。このステップを考えています。
長期的な構想としては、いま管理や制御ができていない食料の流れをリアルタイムで追えるようにしたいと思っています。たとえば、「どの食品工場に、どの品目が、どれくらいあるのか」は可視化できていません。そのため、食品工場Aではキャベツがあまっているのに、食品工場Bではキャベツが足りないといったことが起きています。しかもこれは日本だけじゃなく、世界中で起きていることです。
少し大きな話になりますが、国際連合食糧農業機関が出しているデータによれば、世界の飢餓人口は7〜8億人にものぼるそうです。一方で、世界の食料生産量の3分の1は流通過程や消費段階で廃棄されているといいます。年間で約13億トンです。
食料なので、傷んでしまう、腐ってしまうということはあると思いますが、飢餓に苦しむ人がいるのに廃棄される食料があるということは、現在の管理手法や流通の仕組みに何かしらの不具合があるからだと思っています。

現代においても、まだ誰も正確な情報を持っていません。管理し、制御するシステムがありません。そのためまずは日本から、どこに、どんな農産物が、どれくらいあるのかをリアルタイムに追えるようにしたいと思っています。そうすることで、食料の「わからない」部分を少しでもクリアにできるはずです。
そうですね。2020年の終わりから本格的に事業を動かしてきましたが、やりたいことを実現するためにはまだまだ人が足りていません。いま、正社員が20名弱。アルバイトも含めると30名ほどの組織なのですが、これを100名、150名の規模にしたいと考えています。
この1年ほどは、とにかくすべてのことに全力で取り組んできました。ただし、ただガムシャラにやるだけではうまくいかないこともわかってきました。これから先、組織を大きくしていくことを踏まえると、経営レ イヤーや中間のマネジメントレイヤーは、ある程度成熟したメンバーを揃え、土台を固めたいと思っています。その上で、現在特に採用したいのは、COOとHRです。
COOには、コストを管理しながら事業を拡大していくこと。そして、組織マネジメントをお願いしたいと思っています。仕入れ先となる大規模農業法人さんは170軒になり、今後も増えていきます。販売先となる食品工場も開拓を進めているので、効率的にN対Nのマッチングを進めていくことをお任せしたいです。
その際に求める要件として最も優先順位が高いのは、いまのアグリぺディアと同じくらいの組織規模で経営に携わった経験だと考えています。プラスアルファで、物流や流通に関わっていた方であれば、思い切り力を発揮していただけるのではないかと思います。
HRは責任者のポジションで、今後の組織拡大を幹になって支えていただきたいと考えています。これから非連続の成長を目指すにあたって、採用や制度設計の重要度が増していきます。その際、中心となって物事を推進していただきたいと思っています。
ミッションである『農業の可能性を、解き放つ。』に対する共感以外は、カルチャーフィットなどの細かい縛りは考えていません。結果を出すことがすべてなので、そのために情熱を燃やせる方であればぜひ一度お会いしたいです。
いま日本が直面している課題を、解決に向けて動かせること。その当事者の一人になれる可能性があることでしょうか。社会を一歩前に進めるような、そんな仕事ができる環境だと思っています。
ちなみに、経営に携わっている執行役員がいるのですが、彼女は外資系金融機関からアグリぺディアに転職してきました。農業や食にはそこまで興味がなかったのですが、社会に大きなインパクトを残すこと。かつ、しっかりと利益を出し事業として成功させること。この両立に強いこだわりを持っていて、そのチャレンジの場として当社を選んでくれました。
私も、彼女も、もちろん他のメンバーも、社会に良いインパクトを残すこと、大きな社会課題を解決することにフォーカスしています。同じようなスタンスで仕事がしたいという方は、きっと楽しく仕事ができると思います。
また、いま開発を進めているデータプラットフォームは、アグリコネクトで働いていた2013年に長野の農業法人さんの社長の方とお話ししている時に思いついたアイデアです。戦後の「農政トライアングル」でつくられた強固な構造が、時代の流れとともに徐 々に機能しなくなり、ほぼ確実に新しいものに移り変わっていくと思いました。
従来の個別でアナログなやり取りから、データをベースにしたより最適化されたプラットフォームが出てくるはず。私たちがつくる・つくらないに関わらず、この方向性で世の中は変わっていくはずだと思いました。この考えが正しいとすれば、ちょっと大袈裟かもしれませんが、新しい世の中のスタンダードをつくるプロジェクトに参画するチャンスとも言えると思います。
最近考えていることは、思い込みや決めつけから自分を解放して、ゼロから自由に発想できる経営者でありたいということです。
1年前くらいまでは、「農業スタートアップだから、農業に愛情を持っている組織にしなければいけない」と考えていました。農業に情熱を持っている人を集め、そういう人たちを引っ張っていける経営者になるべきだと思っていました。
でも、最近は、メガファームを増やすことや、地球上の食料の流れを最適化できれば良いと考えるようになってきました。このミッションを実現するためには、必ずしも農業が好きな人ば かりで組織をつくる必要はないと思うようになってきたんです。
開発中のデータプラットフォームを大規模農業法人や食品工場でトライアルしていますが、多くの利害関係があるので最初は不可能だと思っていました。「できたらいいけど、色々とハードルがあるから無理なんじゃないか」と思い込んでいました。でも、「こういうことを考えています」と話してみると、結構すんなりと理解していただけたんです。
このように、思い込みや決めつけの中で意思決定していることが、実はたくさんあるのだと思います。だからこそ、理想の実現に向けて何をすべきかを考える時は、自分の思考に変な重力をかけるのではなく、常に自由に発想できる。そんな経営者になりたいと思っています。ちょっと抽象的ですけど(笑)。


株式会社ディプコア 代表取締役CEO
今回のインタビューでは、事業構想に加え「新規就農」というテーマにも話が及びました。新規就農の方法は、いわゆる脱サラ就農、一度農業法人に就職してからの独立、そして親族から受け継ぐパターンの3つだそうです。数としては「受け継ぐ」形が最も多いものの、農業従事者全体は減少を続けています。 担い手が減る中で農業を支えていくのは、アグリぺディアのように、これまでとは異なる農業の仕組みを構想し、社会実装までやり切れる存在なのではないでしょうか。同社の事業は、本当の成果が見えるまでに長い時間を要します。しかし、いまの意思決定が10年後、20年後の産業の姿を形づくるかもしれません。その歴史の途中に参加できることこそが、こうした事業に携わる最大の魅力なのだと感じました。


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