
2030年をゴールに国際競争が続く量子の分野。日本発スタートアップQunaSysが描く世界での勝ち筋。そして、いまだからこそ得られるキャリアの魅力とは。
2025.03.28 公開
2025.03.28 公開
企業名:株式会社QunaSys
設立:2018年
事業内容:量子コンピュータを用いたソフトウェア開発、量子技術関連コンサルティング
JICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社 ベンチャーキャピタリスト
QunaSysは量子コンピュータを有効に活用するためのソフトウェアやアルゴリズムを開発するスタートアップです。化学業界や電機業界をはじめとした名だたる大企業と量子コンピュータ活用に向けたプロジェクトを進めるほか、内閣府や文科省など国のプロジェクトでも重要な役割を担うなど日本の量子コンピュータ業界を牽引する1社であり、今後のますますの活躍を期待しています。
株式会社QunaSys COO 松岡 智代
京都大学大学院工学研究科材料化学専攻博士課程修了(Ph.D)。新卒で経営コンサルティングファームのArthur D Little Japanに入社。化学・素材・自動車を中心とした製造業に対して新規事業戦略や中長期戦略の策定支援に従事。2020年、QunaSysに入社しCOOに就任。仕事の軸にあるのは「化学×ビジネス」。「物事をいかに説明するか」に強い関心がある。好きなタレントはタモリさん。最近ハマっているのは、石。
株式会社QunaSys CFO 菅谷 俊雄
東京大学経済学部卒業後、投資銀行でクロスボーダーM&Aや資金調達業務に従事。金融の経験を積んだ後、2019年にスタートアップの世界へ。モビリティ関連スタートアップでCSO、COOとして上場に貢献。2023年、QunaSysに入社し、CFOに就任。趣味は登山やボクシング。最近は週に4〜5回はジムに通っている。米国で弁護士としての経験を持つ。
▶︎ 松岡 :QunaSysは2018年創業の会社です。現CEOの楊(ヤン)と大阪大学の藤井教授や御手洗准教授が中心となって立ち上げました。量子物理学の知見を活かして、これまでのテクノロジーでは成しえなかったことを実現するためにつくられた会社になります。
「量子」や「量子コンピュータ」という言葉は、最近ではたまにメディアでも出てくるようになりましたが、まだまだ新しい分野です。従来のコンピュータ産業は、その大きな領域のなかでハードウェアやミドルウェア、ソフトウェアと、ある程度カテゴリーが分かれていると思います。ただ、量子コンピュータの世界 はそこまで明確に線引きされているわけではありません。これから産業としての形をつくっていくフェーズにある、新しい分野だと思っていただければ良いと思います。
▶︎ 松岡 :まず量子コンピュータに関わるプレイヤーは、ほとんどが先進国です。ただし、日本と米国ですごく大きな差があるわけではありません。量子コンピュータそのものをいわゆる「ハードウェア」とした場合、大手ITベンダーがしのぎを削って研究開発を進めています。IBMやGoogle、日本だと富士通などの会社です。ほかにも大学発などのスタートアップがいて、なかには上場する企業も出てきています。
ハードウェア上で動作するミドルウェアやソフトウェアを開発しているのがQunaSysですが、この領域のプレイヤーはグローバルでもそれほど多くありません。なぜかというと、量子コンピュータ上で動くソフトウェアのアルゴリズムを理解できる人材は、世界的に見ても少ないからです。
5年ほど前の時点では、この領域の研究者は世界で500人に満たないと言われていました。もちろん、いまはもっと増えていると思いますが、アルゴリズムを理解して研究開発を進めていける人材が非常に少ないとい うことは変わらないと思います。
また、用いる計算による棲み分けがあり、目的によって結構な違いがあります。そのため、同じようなソフトウェアを開発してみんなで競合しているという感じではありません。ミドルウェアやソフトウェアをやっているQunaSysのような会社は、日本では10社もないと思います。