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「労働生産性向上を実現するための武器はオペレーション」と言い切るアップグレード市村。頭の中にある戦略とは。

「労働生産性向上を実現するための武器はオペレーション」と言い切るアップグレード市村。頭の中にある戦略とは。

労働生産性向上リスキリング組織文化ナンバーワン志向若手経営者コンサル出身起業家オペレーション

2025.02.06 公開

会社概要 - company profile

企業名:株式会社アップグレード

設立:2020

事業内容:生成AIパートナー事業、リスキリング事業

推薦理由 - Reason for recommendation
野呂侑希

野呂侑希

燈株式会社 代表取締役社長兼CEO

市村社長は私の高校時代のサッカー部の一つ上の先輩であり、住み込みで一緒に仕事もしたこともある戦友のような存在です。 彼自身のやり切り力と、それを組織に浸透させる力から多くのものを学ばせていただいています。生成AIの発展に伴い、事業ポートフォリオも変化し、生成AIコンサルティング×リスキリングというまさに時代のニーズを捉えているアップグレード社の発展にますます注目しています。

これまでのキャリアと創業の経緯

─────はじめに、市村社長のプロフィールを教えてください。


僕は他のみなさんと比べて、比較的自由な家庭で育ててもらったと思っています。父親は僕が小学生のときに仕事で海外に行き、それからずっと別々に暮らしていました。そのため、小学生のときから何も強制されないというか、何をやるのか全部自分で決めて良いよという家庭でした。


小さいころから、なんとなく「いつかは自分で会社をやってみたいな」という気持ちがあったのですが、大学生になってから本格的に行動し始めたんです。大学生になってすぐにいろんな本を読み始めて、2年生のときにはインターンに打ち込むために大学を休学しました。


アパレルのECをやったり、AI関連の受託開発をやったり、いろんなことをしている会社でインターンをしていたのですが、創業間もない会社で、メンバーが2〜3人くらいの規模でした。いろんなことをやらせてくれる会社で、そのときの僕の肩書きは「エンジニア 兼 EC事業責任者」でした。独学でプログラミングについて学んだり、オペレーションについて勉強したり、どうしたら事業が成長するのかをどんどんインプットしていきました。


インプットしたものを実際の仕事でも試していって、うまくいったものはさらにやる、うまくいかなかったものは違う施策に切り替える。そのサイクルを回せば回すほど業績が伸びていき、数ヶ月で月商1,000万円を突破して「事業をやるって面白いな」ということを感じました


─────大学は経済学部でいらっしゃいますが、技術はどうやって身につけたんですか?


基本的には、全部独学です。オンラインの学習サービスを使ったり、本で勉強したり。学ぶためのツールはたくさんあるので、短期集中でやっていました。やるときには思い切り集中してやる」というタイプなので、月に300時間とか一気に勉強するんです。これはもう気合いですね(笑)。大学2年生のときは、遊びにも行かず、勉強ばかりしていました。


友人と一緒にアプリをつくってリリースしたこともありましたが、そのときは1〜2ヶ月でゼロからアプリのつくり方を勉強していきました。まずアプリをマスターして、次にシステムを学び、そのあとWebについても勉強していって、最終的には一通りインプットしたという感じです。


─────気合い、大事ですよね! それでは起業したきっかけを教えてください。


自分たちでアプリをリリースできたので、次は大手新聞社主催のビジネスコンテストに出場しました。全国の大学生を対象にしたコンテストで、そのときはAIを使ってヘルスケアの課題を解決するというアイデアでした。


結果的に最優秀賞を受賞したのですが、特に評価されたのは実行力の部分でした。ほかの参加グループは、デスクトップリサーチというか、いろんな情報を集めてきて、分析して仮説を立てて、「こういう課題解決方法があると思います」というアウトプットでした。ただ、僕たちのグループはそこから一歩踏み込んで、仮説の精度を高めるためにいろんな大学の教授に話を聞きに行ったり、プロトタイプをつくって日本のトップメーカーを訪問して壁打ちに付き合っていただいたりしました。企業の方からは「事業化したら一緒にやりましょう」と言ってもらえて、それらも含めてコンテストでプレゼンしていました。


結局、このアイデアは事業化しなかったんですけど、「こういうものがあったらいいな」という仮説に対して、どんどん行動して形にしていく自分たちの姿勢を評価いただけたのはとても自信になりました。


その後、大学でアントレプレナーシッププログラムが始まったんです。当時、僕は東京大学の経済学部の柳川ゼミに在籍していたのですが、松尾研究室と合同のプログラムということでした。そこに僕も参加して、会社を設立しました。


─────当時はどのようなビジネスモデルだったのでしょうか。


いまもやっている個人向けのリスキリング事業です。でも、途中で事業運営をストップすることにしたんです。就職活動したいという人もいましたし、メンバーのなかでモチベーションのばらつきがあったことが理由です。


ただ、大学卒業が近づくにつれて、改めて「自分で事業をやりたい!」という気持ちが盛り上がってきました。自分でも理由が良くわからないのですが、大学4年生のときに完全にスイッチが入ってしまって、創業者や経営者の方が書いた本をものすごい数、読みまくっていきました。300冊以上あったと思うのですが、読めば読むほどやりたいことやあるべき会社の形、理想の組織の状態がどんどんクリアになっていきました。そこで、就職はするけれど、自分の会社も再び動かし始めることにしたんです。


─────二足のわらじということですね。ちなみに、就職したコンサルファームではどのような仕事をしていたのでしょうか?


その会社には1年弱しか在籍しなかったのですが、不動産業界向けのオペレーション改善プロジェクトや製造業の顧客に対するリサーチ業務などを担当していました。一番の学びは「コンサルティング」というビジネスモデルに対する理解が大きく進んだことでしょうか。顧客である大企業が、どういう論理で生きているのか、どういう力学で動いているのか。そういうことを近くで経験できたことは、いまの仕事にも活きていると思います。


僕がコンサルティングファームで仕事をしている間も立ち上げた会社は動いていて、当時は他のメンバーが順調に伸ばしてくれていました。いろいろなプロジェクトを経験してみて、「やっぱり自分で事業がやりたい」と気持ちが明確になったので、2023年にコンサルティングファームを退職し、当時数十人くらいの規模だった自分の会社にフルコミットすることにしたんです。


「ナンバーワン」を掲げ、達成するためのオペレーションを磨き続ける

─────現在の「アップグレード」について簡単に教えていただけますか。


組織規模は200人ほどです。正社員は少なく、業務委託やアルバイトの学生インターンが多いです。業務委託は日本全国のフリーランスの方々や副業の方々で、営業もいますし、マーケターやエンジニア、デザイナー、バックオフィスなど、職種はさまざまです。


事業としては、リスキリング事業と2023年からはじめた生成AI開発のコンサルティング事業があります。


リスキリング事業については、そもそもの部分で僕自身が学ぶことがすごく好きで、教育系の事業がやりたいという想いが昔からありました。何を教えるかを考えたときに、自分が学んできたこともありますし、世の中の需要もあるWebやITのスキルが良いだろうと考えました。けっこうシンプルな理由で始めた事業になります。


個人の方がお客様なのですが、新しいスキルを学び、別の業界や別の職種にキャリアチェンジしたいというニーズを持った方が多いです。WebデザインやWebマーケティングなど、Web系のスキル全般を学べるように幅広いカリキュラムを用意しています。


─────リスキリング事業は競合が多いマーケットだと思いますが、どのような強みがあるのでしょうか?


強みとしては、カリキュラムの幅広さ、そしてコーチングの質の高さだと思います。受講者にはフリーランスのコーチがマンツーマンでサポートするのですが、顧客満足度は90%以上を推移しています。途中で辞めてしまう方はほぼいなく、解約率は非常に低いですね。


リスキリング事業は、お客様にアプローチするマーケティング、サービスを提案して入会いただく営業、入会後にちゃんと満足いただくようにサポートするコーチングという具合に、いくつかのフローに分解ができます。僕たちは各フローでKPIを置き、徹底して細かく数値を管理して、それぞれで高い数値を出すための改善を常にくり返しています


ここまではどの会社さんも同じだと思いますが、特徴的なのはKPIの置き方かもしれません。というのも、僕たちは行動指針の中に「ナンバーワン」を掲げていて、日本一になるためのKPIを設定するんです。


たとえばマーケティングの部署であれば、スキル習得に興味がある方に向けて広告を出す場合に、CPA(Cost per AcquisitionまたはCost per Actionの略。1件の成果獲得にかかるコストのこと)を日本で一番安く設定します。そして「日本で一番安いCPAってどれだ?」と調べに行きます。日本一をベンチマークして、なぜ日本一なのかを分析し、得られた学びを自分たちの部署や業務に当てはめていくんです。


この企業文化があることに加えて、僕たちは他者から得た学びを言語化して、仕組みとして自分たちに応用することが得意です。そのため事業基盤が強く、後発ではありますが伸びています。


─────「ナンバーワン」を掲げ、そこから学び、超えるべくKPIを置くということですね。カリキュラムやコーチングの質については、何を大事にしているのでしょうか?

※本記事の内容はすべてインタビュー当時のものであり、現在とは異なる場合があります。 予めご了承ください。